つづく日々(人を思い出す)

含蓄もなく、滋味もなく、大きな事件も起こらない、自分のあやふやな記憶の中の日々と人々とを散漫に思い出して書きます。

スノードームのこと

時節柄、インテリアショップにスノードームが並びだして、そういうのを見つけてしまうと、ついひっくり返して、雪が降るところを見たくなってしまう。

大抵、それなりの重さがあるから、手を滑らせないようゆっくりと宙で逆さにして、しばらく雪を光の中で遊ばせた後、またもとに戻す。
 
この前に行ったお店では、中に何も入っていないラメだけのスノードームと、帽子をかぶったガラス製のクマが1頭入っているスノードームが、並んで陳列されていた。どちらも高価なものらしく、1点ずつ飾られてている。
 
「この何も入ってないほうがいいな」
「そうかなあ、さみしいよ」
「クマのほうがさみしいと思うな」
「なんで?」
「いつまでたっても、彼はずうっとスノードームの中で一人ぼっちなのかなって考えちゃって」
「なんだかつらくなる考え方だなあ」
 
スノードームを集めてみようかという気がたまに湧くことがあるけれど、かさばるし重いから、コレクター泣かせのような気がして、その思いつきはだいたい棄却される。あのクマは誰かに買われたかしら。あのスノードームのなかでは1日に何度雪が降っただろう。