つづく日々(人を思い出す)

含蓄もなく、滋味もなく、大きな事件も起こらない、自分のあやふやな記憶の中の日々と人々とを散漫に思い出して書きます。

冬のこと

冬がすき、マフラー、コート、フランネル

メルトン、セーター、コーデュロイ
ニット、ウール、そしてあたたかなポケット、
 
枯れ木、落ち葉、白い雪、
白い息、白い肌、白い肉まん、
キャメルのコートにグレーのズボン、
水筒にコーヒー、ポケットのおやつ、
 
歩くとかつかつ音がする、寒さで縮こまった線路のレール、
つめたい風とあたたかな陽光、
冷えて主張をしない耳、
すっかり元気をなくした芝生、
 
友だちのアパートにある小さなこたつ、
コンビニおでん、猫の体温、飲み屋の熱燗、
曇るめがね、フードの中のささやかなぬくもり、ドアノブにやどる静電気、
台所で冷え固まるはちみつの瓶、土鍋からのぼる白い湯気、遠くで聞こえる「石焼き芋」、
ガスストーブの不思議なにおい、かさかさしている指20本、朝出られなくなる分厚い毛布、
かわいた空気の煤けたにおい、肺を満たす冬の粒子、赤々としたりんごの重み、冷えたほっぺの薄紅色、冷え性の君のハンドクリーム、あたたかなポケット、
 
冬よ来い、朝の冷気を寒がりながら、冬が来るのをゆっくり待ちたい、
 
冬がすき、