冬に生まれたこと
「確かに、冬っぽいと思ってたよ」と、僕の誕生日を聞いた友人が言ってくれた。僕は冬が好きだし、冬に生まれたことを気に入っていたから、これはうれしかった。
その人が生まれた季節が、その人の性格にほんの少し影響を与えるのではないか、と思う。いつも一笑に付されるくだらないアイデアだけど。
例えば冬に生まれたら、コートやマフラーを着ている両親の姿を見ることが多くなるだろうし、窓からの景色は、葉が落ちきった樹木だったり、羽毛みたいな雪だったりすると思う。きっと夜はあたたかな毛布をあてがわれ、訪れる朝の空気も冬のにおいを含んでいる。全てが赤ちゃんにとって初めて見る世界だから、季節の影響は少なからずあるのではないか。これが夏生まれだったらきっと景色はぜんぜん違うだろう。青々と茂った草木、庭にまかれる水の匂い…………。
僕は冬に生まれた人も、夏に生まれた人も好きだ。夏生まれの友人、特に6月と7月には、すごく世話になっていた人がいる。彼/彼女は僕をたしなめて支えてくれ、叱り、褒め、暗い淵に落ちそうになっている時には引っ張り上げてくれる。夏が冬をあたためてくれてる。SOSを出せない僕は、そういう人にいつも助けられていた。夏という季節は暑くってあんまりすきじゃないけれど、彼/彼女の誕生日がくる季節だから、やっぱりすきな季節だということになる。